「彫刻のある街づくり」にみる現状と諸問題('96)
The Present Condition and Problems on
"TOWN PLANNING WITH SCULUPTURES('96)
高岡第一高等学校 松尾 豊
I.はじめに
1989年11月に、筆者は上記題目と同一テーマで第28回の本学会(和歌山市)にて研究発表を行った。以来7年近くが過ぎようとしているが昭和の終焉89年は「バブル経済の隆盛期」と言われていた。又、89年以降は、筆者の野外彫刻研究とは別に、造園や都市計画等の研究者の間からも調査報告が出され、近年は「パブリックアート」の呼称で野外彫刻に関する著作物も出版されてきた。他方で、美術評論家や美術史家からもまとまった書物(写真ガイドブックは除外)は、皆無に近い現状である。
「彫刻のある街づくり」事業は、これまで曖昧に議論されてきたが、ここでは「自治体が、街づくりを自覚的に意識し、何等かの形で彫刻やオブジェを屋外または野外空間に計画的に設置したり、収集・公開・展示する事業」と定義しておきたい。本発表は、筆者のこれまでの野外彫刻研究を踏まえ「彫刻のある街づくり」の96年3月末現在の現状を整理し、評価と市民社会への有用性や阪神大震災の報告を加え、問題点と課題を探るものである。
I.はじめに
II.「彫刻のある街づくり」の現状
III.問題点と課題
IV.おわりに(パブリックアートの今後)